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オムロンとアプリズム、非集中学習技術「DcX」でAI開発効率を飛躍的に向上
投稿日 2026年6月10日 03:02:40 (競馬ニュース)
- 株式会社アプリズム: 馬体検出AIモデルの開発、環境提供および実データによるアルゴリズム検証、サービス搭載に向けた実装およびプロトモデル開発
- オムロン株式会社: プロジェクトマネジメント、テクノロジーコミュニケーション
- オムロン サイニックエックス株式会社: DcXおよびAI技術に関する研究開発、AIおよび研究成果に関するアドバイザリー
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非集中学習技術「DcX」とは
一般的に、物体検出や画像認識にAIモデルを適用する開発では、元データや現場固有のデータに基づく学習が必要です。しかし、データ共有に伴う利用権利や情報漏洩のリスク、データ量の増大による開発期間やコストの課題が存在します。また、データの価値が高まる近年では、データ共有自体が困難な状況も少なくありません。
これに対し、OSXが開発した非集中学習技術「DcX」は、各現場で学習されたAIモデルのみを統合することで、データを直接共有することなく、セキュアな環境でAIを高度化できる新しいアプローチです。
DcXの詳細については、以下のリンクをご参照ください。
「aiba」における検証の背景
アプリズムが提供するAIプロダクト「aiba」は、馬の行動や状態をAIで見守り、管理業務を支援するサービスです。このプロダクトでは、現場ごとの環境や対象の特性に応じた検出AIモデルが利用されています。しかし、学習時に想定していなかった現場環境や対象条件の変化が生じると、馬体の検出精度が低下するという課題がありました。

このような変化に対応するためには、他のオーナーが保有する馬房データや他拠点のデータを用いた追加学習が有効ですが、これらのデータは秘匿性が高く、共有や外部利用に制約があります。また、追加学習にはデータ収集、モデル開発、運用対応に加え、開発期間とコストの増大が伴うことも課題でした。
「aiba」の詳細については、以下のリンクをご参照ください。
技術検証の概要と各社の役割
本検証では、OSXが開発したDcXを「aiba」の検出AIモデルに実装し、その有効性を確認しました。DcXは、各現場で生成されたAIモデルのみを持ち寄り、その出力結果を教師として用いる蒸留技術を利用した非集中型の学習手法です。これにより、各現場の固有データを第三者などの外部に共有することなく、異なる環境や対象の特徴を単一のAIモデルに統合することが可能となります。
各社の役割は以下の通りです。
技術検証の成果
1. 馬体重心位置の推定性能の向上
「aiba」では、検出モデルにより画像内の馬体を検出し、そのバウンディングボックスの中心位置を馬体重心位置として推定しています。DcXの適用前後で重心位置の推定性能を比較した結果、特に夜間で照度が低い厩舎環境においても、他拠点で学習された知見を取り込むことで、暗所環境下でも安定して馬体を検出できるようになりました。


これにより、馬体重心位置の推定性能が19.00%改善されることが確認されました。この改善は、他馬房と同等の夜間状況が発生したと想定した場合の、馬体重心位置の正解とのズレの平均値の比較によるものです。
2. AIモデル開発期間の短縮および運用負荷の軽減
AIモデル開発期間の短縮
従来、環境変化に対応するための追加学習では、他のオーナーが保有するデータ利用に関する契約や準備に多大な時間を要していました。本取り組みにより、現場での新たなデータ収集やアノテーション作業が不要となり、検出モデルの再構築に要するAIモデル開発期間を従来比最大で約75%低減し、25%程度に大幅に短縮することが可能になります。これにより、現場導入までのリードタイムを短縮し、サービスの迅速な立ち上げに貢献します。
コストの削減
環境変化に対応する追加学習には、データ保管、アノテーション作業、検出AIモデルの学習など、多くの人的・システムコストが必要でした。DcXを利用することで、新たなデータ収集が不要となり、これに伴う人件費に加え、学習環境として利用していたクラウドサービスなどのハードウェア利用料を約50%に大幅に削減できる見込みです。
今後の展望
本技術は、環境や条件が異なる現場ごとに分散して蓄積された知識を活用し、固有データを共有することなく安全にAIを高度化できるという特長を持っています。これにより、製造業、社会システム、ヘルスケアなど、ドメインが異なりデータ統合が難しい複数の事業領域にまたがる場合でも、AIモデルという「知識」を全社横断で活用可能な技術基盤として、事業ドメインを越えたAI活用や技術連携の促進が期待されます。
オムロンは、中期ロードマップ「SF 2nd Stage」において強化を進める全社コア技術領域の一つであるAgentic AI領域に向け、追加学習に伴う開発・運用負荷を低減したAIモデル生成技術として展開していく方針です。これにより、各事業での活用を前提としたAI技術基盤の強化を進め、事業競争力の向上に貢献していくとのことです。
全社コア技術領域の詳細については、以下のリンクをご参照ください。
将来的には、SF 2nd Stageで示された注力13事業の制御機器などをはじめ、他社・他業界との共創による社会的課題の解決へと発展が期待されます。両社は本検証の知見を活かし、追加学習に伴う負荷を抑えながら安全にAIを高度化する技術として、さらなる顧客課題の解決を目指し、オムロンのAgentic AI分野における事業競争力の強化に貢献していく考えです。
関係者のコメント
株式会社アプリズム 代表取締役社長 仙敷久善氏
「オムロン様およびオムロン サイニックエックス様の先進的な非集中学習技術『DcX』との連携により、弊社のAIプロダクト『aiba』のAIモデルは、性能・適用領域の両面で大きな進化を遂げられたことを、大変嬉しく思います。本取り組みにより、各現場で蓄積された知見を安全に活用しながら、環境差に左右されにくいロバストなAIモデルの構築が可能となりました。今後も、現場に根ざしたAI開発を通じて、より実用性と信頼性を兼ね備えた高いサービスを提供し、社会に価値をもたらすプロダクトの創出に取り組んでまいります。」
オムロン 執行役員 ストラテジックR&D本部長 兼 オムロン サイニックエックス 代表取締役社長 諏訪正樹氏
「アプリズム様からオムロン サイニックエックスの技術『DcX』に高い関心をお寄せいただき、共創を通じて社会実装につなげられたことは、当社の技術経営においても重要な観点と捉えています。今回の実証により、現場ごとに蓄積された知見を活かしながらAIを高度化できる可能性を大いに感じました。今後も、オムロン サイニックエックスの研究成果を社会実装につなげるべく、共創を戦略的に推進し事業の成長と社会的価値の創出に貢献してまいります。」
オムロン ストラテジックR&D本部 テクノロジーコミュニケーション&コラボレーション推進部長 兼 オムロン サイニックエックス 近未来デザインディビジョン長 西岡崇氏
「当社は、バックキャスト思考で”近未来デザイン”し先端技術の研究開発による成果を実装した”近未来”の発信・共感を通じて共創パートナーを募ることで『革新的技術の創出を続ける研究モデル』の具現化に取り組んでいます。本取り組みでは、AIの実装が進む”近未来デザイン” を通じて、アプリズム様と開発現場の課題に挑戦し、実効性の高い検証結果を得ることができました。今後も、新たな共創機会の創出に向けオープンイノベーションを推進し、社会実装に向けた展開を加速してまいります。」
企業情報
株式会社アプリズム
AI・生成AI・エッジ/フィジカルAIを中核とした先端技術開発を強みとするテクノロジーカンパニーです。産官学連携による研究開発から、製造・点検・検査・監視分野における現場への社会実装までを一貫して支援し、人手不足や属人化といった産業課題の解決に貢献しています。現場で使われ続けるAIの実装を通じて、企業の持続的な競争力向上を目指しています。
詳細については、https://apprhythm.co.jp/をご参照ください。
オムロン サイニックエックス株式会社
オムロンが考える”近未来デザイン”を創出する戦略拠点です。「AI」「ロボティクス」「IoT」「センシング」など、幅広い領域の最先端技術のトップ人財が研究員として在籍し、社会的課題を解決するために、技術革新をベースに「ビジネスモデル」「技術戦略」「知財戦略」を統合し具体的な事業アーキテクチャに落とし込んだ”近未来デザイン”を創り出します。また、大学や社外研究機関との共同研究を通じて「近未来デザイン」の創出を加速していきます。
詳細については、https://www.omron.com/sinicx/をご参照ください。
オムロン株式会社
独自の「センシング&コントロール+Think」技術を中核としたオートメーションのリーディングカンパニーとして、制御機器、ヘルスケア、社会システム、電子部品、そしてこれらの事業をうつうじて取得した多種多様なデータを活用したデータソリューション事業を展開しています。1933年に創業したオムロンは、現在では全世界で約2.6万人の社員を擁し、130ヶ国以上で商品・サービスを提供し、よりよい社会づくりに貢献しています。
詳細については、https://www.omron.com/jp/ja/をご参照ください。
本リリースに関するオムロンのニュースはこちらです。
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